便潜血検査の概要
この項目は、便潜血(便の中に血液が混ざっているか)の有無を調べる検査です。
便潜血検査とは、大腸がんなど何らかの影響により大腸から出血した血液が便に混ざっているかを調べる検査で、老人保健法に基づく大腸がん検診の項目として利用され、通常、2日法で行われます。
以前までは化学法と呼ばれる検査方法で検査をしていましたが、この場合、食事に含まれるヘモグロビンやヘム類似化合物(肉や野菜など)とも反応するため、食べ物の制限がありました。
しかし現在では、免疫法というヒトのヘモグロビンにのみ反応する検査方法になったため、食事の制限は必要なくなりました。
ただしこの免疫法の場合、食道や胃などの上部消化管からの出血があっても、胃液やその他の消化液によってヘモグロビンが変化してしまうため、この方法では検出できません。
そのため、下部消化管である大腸がんのスクリーニング検査として用いられています。
便潜血2日法では、進行癌の約80~90%、早期がんの約50%を発見することができるといわれています。
また、便潜血検査を毎年実施することで、大腸がんの見落としが少なくなりますので、毎年実施するようにしましょう。
便潜血検査の陽性または陰性が意味すること
便潜血検査が陽性の場合
「便潜血陽性=大腸がん」ではありません。
便潜血検査が陽性を示すうちの約3%が大腸がんであり、ポリープからの出血が約30%、その他の大半は痔が原因で陽性となります。
便潜血検査で陽性(1日もしくは2日とも陽性)となった場合は、必ず医療機関を受診するようにしましょう。
よく痔があるから陽性になったと思われる方がいますが、もちろん痔で陽性を示す頻度は高いですが、このなかに痔と癌が共存している可能性も否定できません。
そのため、必ず自己判断せずに陽性と判定された場合は、受診して医師にご相談下さい。
便潜血検査が陰性の場合
「便潜血が2日とも陰性=大腸がんではない」これも間違いです。
残念ながら、上記に記載のあるように、すべての癌がこの検査で陽性となるわけではなく、あくまで「2日とも便に血が混ざっていなかった」ということでしかありません。
そのため、便潜血が陰性でも、大腸がんを疑う症状(便秘や下痢が続く、便が細い、腹痛など)がある場合は、大腸内視鏡検査などの精密検査をを実施したほうが良い場合もあります。
2日間便を採取する理由
一般的に大腸がんの検診で行なわれる便潜血検査は2日法と呼ばれる、2日間便をとる検査方法です。
これは、大腸がんがあったとしても、必ずしも毎日その部位から出血するわけではないために、1日のみの検査の場合、見逃してしまう恐れがあるためです。
そのため、より検出する精度をあげるために2日間便を採取するようになっています。
検査の目的
1)健康診断(大腸がん検診)の項目として
2)大腸がんを疑う場合
参考基準値
(-)
便潜血検査が陽性を示す病態
大腸がん、内・外痔核、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、憩室、細菌性大腸炎 など