クレアチニンの概要
この項目は、血液中のクレアチニンの量を調べる検査です。
クレアチニンは、筋肉が働くためのエネルギー源であるクレアチンが代謝されてできる最終代謝産物です。
クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿細管で再吸収もされずに尿中に排泄されます。
そのため、腎臓機能の低下(糸球体での濾過作業が低下)する病態が起こると血液中の濃度が上昇します。
そのためクレアチニンは、尿素窒素とともに腎機能検査として用いられます。
腎臓機能の指数としてBUN/クレアチニン比がよく用いられます。
通常は10:1 の比が保たれていますが、この比が10 以上の場合は腎外性因子を、10以下の場合は腎性因子を考慮します。
クレアチニンは、食事の影響や、腎臓以外の因子の影響を受けにくいですが、糸球体ろ過値(GFR)が だいたい2/3程度まで低下しないと基準値を超えるような高値を示さないことがあり、早期の腎機能異常を見過ごしてしまうことがあります。
そのため、クレアチニンが基準値内でも、腎臓機能の低下が疑われる場合などにおいて、eGFR(推定糸球体濾過量)やクレアチニンクリアランスと呼ばれるより正確な腎機能(糸球体濾過機能)検査を実施することがあります。
クレアチニンの生理的変動
性別による変動
男性の方が女性よりも高い値を示します。
年齢による変動
成人の方が小児・高齢者よりも高い値を示します。
その他の影響による変動
夕方に高い値を示す傾向があります。
※性差・年齢差共に、クレアチニンが作られる量は、体内の筋肉量に比例するため、このような差となります。
検査の目的
1)腎機能のスクリーニング検査として
2)腎疾患を疑う場合や腎疾患の経過観察として
参考基準値(単位:mg/dl)
男性 : 0.61 ~ 1.04
女性 : 0.47 ~ 0.79
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
クレアチニンが異常値を示す病態
高い値を示す場合
腎臓疾患(腎炎、腎不全など)、心不全、火傷、脱水、末端肥大症 など
低い値を示す場合
尿崩症、筋ジストロフィー、長期間寝たきり状態、妊娠 など