抗核抗体

抗核抗体の概要

この項目は、血液中の抗核抗体の有無を調べる検査です。

抗核抗体とは、細胞内に存在する核内の細胞核成分に対する自己抗体の総称です。

抗核抗体は、多くの膠原病で陽性を示すことから膠原病の検査として用いられており、現在のところ20種類以上が同定されています。

この抗核抗体検査は、抗核抗体群の有無を知るスクリーニング検査として用いられています。
この検査で陽性の場合、次のステップとしてどの種類の抗核抗体が陽性なのかを調べる検査を実施します。

抗核抗体は、全身性エリテマトーデスで95%以上、混合性結合組織病で100%、全身性硬化症で80~90%、シェーグレン症候群で70~90%、多発性筋炎/皮膚筋炎で50~80%、自己免疫性肝疾患で30~80%陽性を示します。

ただし、この抗核抗体検査は、健常者の約10~20%で陽性を示し、年齢や性別で陽性率は異なりますが、10代の女性で最も高い陽性率を示します。
また、高齢者の場合は約20~40%で陽性を示すようになります。

一般的に健常者が陽性の場合は、抗体価は低い(80倍以下)ものがほとんどです。

代表的なパターン(染色型)と疑われる自己抗体

通常、抗核抗体検査は、蛍光抗体法によって測定され、陽性の場合は、蛍光染色されたパターン(染色型)によってある程度自己抗体の分類がされます。

1)均質型
抗ヒストン抗体、抗DNA抗体、抗ss-DNA抗体、抗ds-DNA抗体

2)辺縁型
抗DNA抗体、抗ss-DNA抗体、抗ds-DNA抗体

3)斑紋型
抗RNP抗体、抗Sm抗体、抗SS-A抗体、抗SS-B抗体、抗Scl-70抗体、抗Ki抗体

4)核小体型
抗U3-RNP抗体、抗PM-Scl抗体、抗核リボソーム抗体

5)セントロメア型
抗セントロメア抗体

抗体と自己抗体
抗体とは、自分のカラダ以外のもの(細菌・ウイルスなどの異物、がん細胞など)を異物とみなしてこれを排除しようとする蛋白で、生体防御に重要な役割を果たしています。

自己抗体とは、免疫機能の異常により、本来異物ではない自分の成分を異物と認識して抗体がつくられ、自分自身の細胞を攻撃してしまうものです。

検査の目的

膠原病が疑われる場合や膠原病の経過観察のため

参考基準値(単位:倍)

40未満

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

抗核抗体が高値(陽性)を示す病態

膠原病
全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)、シェーグレン症候群(SjS)、全身性硬化症(SSc)、多発性筋炎、皮膚筋炎、関節リウマチ など

膠原病以外の疾患
慢性甲状腺炎、原発性胆汁性肝硬変症、自己免疫性肝炎、重症筋無力症 など