ミオグロビンの概要
この項目は、血液中のミオグロビンの量を調べる検査です。
ミオグロビンとは、赤血球中に含まれるヘモグロビンと同じヘム蛋白で、心筋や骨格筋などの筋細胞に存在し、ヘモグロビンによって運ばれてきた酸素を受け取り筋組織に運搬・貯蔵して筋肉でのエネルギー産生を手助けしています。
ヘモグロビンと似ているため、ミオグロビンが尿中に排泄されると尿潜血検査(試験紙法)で陽性を示します。
各病態とミオグロビン
心筋梗塞
心筋が壊死を起こすことにより、心筋中のミオグロビンが血液中に放出されて高値を示します。
心筋梗塞の場合、発症後約1~3時間で上昇し始め6~10時間でピークとなり、1~3日で正常となります。
心筋梗塞の検査で用いられるCK-MBよりも早くピークに達するので、心筋梗塞の早期診断に用いられることがあります。
但し、骨格筋疾患でも高値となるためCK-MBのように心筋特異性はありません。
心筋梗塞以外の骨格筋疾患
筋ジストロフィー、筋炎などのような筋疾患の場合、筋肉の崩壊が起こることにより、血液中にミオグロビンが放出されて高値を示します。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症により筋障害が起こることでミオグロビンが高値を示すことがあります。
腎不全
腎機能障害によりミオグロビンの排泄障害が起こると血液中にミオグロビンが溜まってしまうため高値を示すことがあります。
生理的変動
性別による変動
男性の方が女性よりも高値を示します。
その他の影響による変動
激しい運動後や出産時は、一過性に高値を示すことがあります。
検査の目的
心筋梗塞やその他の筋疾患を疑う場合やそれらの経過観察として
参考基準値(単位:ng/ml)
60 以下
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
ミオグロビンが高値を示す病態
心筋梗塞、筋ジストロフィー、多発性筋炎、皮膚筋炎、甲状腺機能低下症、腎不全 など