FT4(遊離サイロキシン)
FT4

FT4(遊離サイロキシン)の概要

この項目は、血液中に存在する甲状腺ホルモンのFT4(フリーT4、遊離サイロキシン)の量を調べる検査です。

甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)は、甲状腺から分泌されているホルモンで、糖、蛋白、脂質の代謝を促進して新陳代謝を盛んにしたり、交感神経の活動を活発にしたり、カラダの成長や発達を促進する働きがあります。

サイロキシン(T4)は血中ではそのほとんど(約99%)が、甲状腺ホルモン結合蛋白(TBG、アルブミンなど)と結合しています。

甲状腺ホルモン結合蛋白と結合している T4は体内でホルモンとしての作用は発揮せず、甲状腺ホルモン結合蛋白と結合していないわずかなT4(約0.03%)、すなわちFT4(遊離サイロキシン)がホルモンとしての作用を発揮します。
そのため、一般的に検査ではホルモンとしての作用を発揮することができるFT4(遊離サイロキシン)を調べます。

T4はすべてが甲状腺から分泌され、遊離サイロキシン(FT4)のほとんど(約80%)は、末梢の細胞で FT4 から FT3 に変換されてホルモンとしての作用を発揮します。
ちなみに遊離トリヨードサイロニン(FT3)のほうが遊離サイロキシン(FT4)よりも即効性で数倍(4〜5倍)の働き(生物活性)があります。

各病態とFT4

バセドウ病

バセドウ病は、体内で自己抗体(抗TSHレセプター抗体)が生じます。
この自己抗体がTSH(甲状腺刺激ホルモン)の代わりに甲状腺を刺激してしまい、これによって甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌してしまいます。
そのため、甲状腺ホルモンであるFT4は高値となります。

橋本病(慢性甲状腺炎)

橋本病は、体内で自己抗体(抗サイログロブリン抗体、TPO抗体など)によって甲状腺が攻撃されて炎症がおこり、その結果甲状腺ホルモンの分泌が低下します。
そのため、甲状腺ホルモンであるFT4は低値となります。

甲状腺ホルモン不応症

甲状腺ホルモン不応症は、甲状腺ホルモンと結合して様々な効果を発揮する組織のホルモンに対する感受性が低下または欠如した状態です。
そのため、甲状腺ホルモンは十分あるにもかかわらず、末梢組織がそれをうまく利用できないため、カラダは甲状腺ホルモンの量を増やして各組織と結合させやすくはたらくためにFT4は高値となります。

備考
ホルモンとは
ホルモンとは、体内の内分泌器官で作られる物質で、代謝や発達など体の健康を維持するためにさまざまな機能を制御しています。
ホルモンはすべての組織や細胞に作用するわけではなく、ホルモンの種類ごとに作用する組織や細胞が決まっています。

自己抗体とは
自己抗体とは、免疫機能の異常により、本来異物ではない自分の成分を異物と認識して抗体がつくられ、自分自身の細胞を攻撃してしまうものです。

検査の目的

甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などの甲状腺機能異常を疑う時や甲状腺疾患の治療判定や経過観察として

参考基準値 (単位:ng/dl)

0.8 〜 1.7

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

FT4(遊離サイロキシン)が異常値を示す病態

高値
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など) ・ TSH産生腫瘍 ・ 亜急性甲状腺炎 ・ 甲状腺ホルモン不応症 など

低値
甲状腺機能低下症(橋本病など) ・ 下垂体性甲状腺機能低下症 など