γーGTPの概要
この項目は、血液中のγ-GTPの量を調べる検査です。
γ-GTPとは、グルタチオンと呼ばれる解毒に関与している物質を作るのに重要な役割を果たしている酵素です。
生体内には腎臓に一番多く含まれ、次いで膵臓、肝臓、脾臓、精巣、小腸などに多く含まれますが、血液中に存在するγ-GTPのほとんどが肝臓由来のため、血液中のγ-GTPは主に肝臓・胆道の障害を反映します。
このように、γ-GTPは肝臓の異常や胆汁の分泌異常(胆汁うっ滞※)の指標として検査にもちいられており、肝・胆道の障害を反映することから、LAPやALPとともに、肝・胆道系酵素と呼ばれています。
γ-GTPは、肝臓などの組織が障害を受けることによって、組織内のγ-GTPが血液中に流れ出てしまう場合(逸脱)と、アルコールや薬物などによって組織の酵素量が増える(酵素誘導)ことによって異常値を示します。
胆道系疾患の場合は、γ-GTPが高値を示すほか、ALPやLAPも上昇します。
疾患以外にも、てんかん治療薬、ステロイド、向精神薬など薬によっても高い値を示すことがあります。
補足:胆汁うっ滞とは
胆汁は、肝臓で作られ、胆管を通って胆嚢に運ばれ、そこで濃縮されて総胆管を通って十二指腸へ流れています。
この胆汁の流れに障害が起こって、流れにくくなっている状態を胆汁うっ滞といいます。
γ-GTPの生理的変動
性別による変動
γ-GTPには性差があり、女性に比べて男性の方が高い値を示しやすく、年齢とともに軽度の上昇傾向があります。
年齢による変動
新生児期ではγ-GTPは高く(成人の約2倍)、乳児期・学童期と漸減(成人の約1/2程度)し、思春期以降になると成人とほぼ同じ値となります。
その他の影響による変動
妊婦の場合、低い値を示す傾向があり、分娩直前では、妊娠前の約1/2程度の値となります。
これは、女性ホルモンがγ-GTPの生成を抑制していると考えられています。
また、飲酒によってγ-GTPは高値を示しますが、これはアルコールにより肝臓でγ-GTPが多く生産されるためです。
禁酒することにより、値は下がり、個人差はありますが2週間禁酒すると、γ-GTPの値は1/2程度低下します。
飲酒の場合、γ-GTPは高い値を示しますが、一般的にALPは上昇しません。
検査の目的
1)健康診断の肝機能検査として
2)肝、胆道系疾患を疑う場合やその経過観察
参考基準値(単位:IU/l)
男性 : 70 以下
女性 : 40 以下
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
γ-GTPが高い値を示す病態
肝疾患
急性肝炎、慢性肝炎、肝がん、脂肪肝、肝硬変、薬剤性肝障害、アルコール性肝障害 など
胆道疾患
胆道閉塞、胆石症 など
その他
常習飲酒、慢性膵炎、すい臓がん、胃がん、肺がん 、心筋梗塞 など
検査時の注意事項
γ-GTPは飲酒によって高値を示しますので、飲酒をされる方の場合、禁酒(2週間~1ヶ月)をしてから再検査をしましょう。
また、てんかん治療薬、ステロイド、向精神薬などの薬でも上昇することがありますので、服薬している場合は、検査の際、医師に飲んでいる薬をお伝え下さい。