肝硬変における血小板減少について

肝硬変になると、血小板が減少しますが、それはなぜかをここでは、簡単に解説したいと思います。

理由は、大きく分けて2つの原因によるものです。

まず、1つ目が脾臓が大きくなる脾腫が起こるためです。
肝硬変における脾腫は、門脈の血流が悪くなることによって起こります。

門脈は、上腸間膜静脈と脾静脈が合流して門脈となって肝臓に血液が流れ込んでいます。

そのため、肝硬変のように肝臓が硬くなって血液が流れにくくなると、脾臓から肝臓に流れる(脾静脈)血液が流れにくくなり、結果的に脾臓に血液が多くたまってしまうために脾臓が大きくなる脾腫がおこります。

脾腫が起こるとなぜ血小板が減少するのでしょう?
それは、脾臓は血小板の貯蔵庫だからです。

通常、脾臓はカラダにある血小板の1/3を貯蔵しています。

そのため、脾臓が大きくなると貯蔵量も増えるために血小板数が減少します。

また、脾臓では、血小板を壊す働きもあります。
そのため、脾臓が大きくなることによって壊す量も増えるために減少します。

そして2つ目が肝臓におけるトロンボポエチンの産生低下です。
肝臓では、血小板の産生を促進させる物質であるトロンボポエチンを作り出しています。

そのため、肝硬変によって肝機能が低下し、この物質の産生量が減ることによって、血小板の作られる量も減少します。

以上の様に、肝硬変では上記の現象が重なって結果的に血小板が減少します。

そのため、慢性肝炎から肝硬変へと進行するにつれて血小板数も徐々に減少するため、肝硬変の診断や経過観察の補助検査として用いられます。