発作性夜間ヘモグロビン尿症
発作性夜間ヘモグロビン尿症と検査

発作性夜間ヘモグロビン尿症の概要

発作性夜間ヘモグロビン(血色素)尿症とは、血液を作る造血幹細胞の遺伝子異常により、体内の赤血球が壊れやすくなる病気です。

体内での赤血球の破壊は、寝ている間に特に起こりやすく、早朝の尿が血液により黒っぽくなります。

また、造血幹細胞の異常のため、赤血球以外にも白血球や血小板も減少します。
この病気は、稀な病気で100万人に数人の割合で発症します。

※貧血とは、一般的に赤血球数・ヘモグロビン濃度・ヘマトクリット値のうちの1種類以上が基準値以下の状態を指します。

発作性夜間ヘモグロビン尿症の症状

一般的な貧血症状として、動悸・息切れ、疲れやすい、めまい、立ちくらみ、頭痛、顔面蒼白などの組織の酸素欠乏による症状が見られます。

その他に、尿に血液が混ざって黒っぽくなることがあります。
また、白血球減少により感染症にかかりやすくなったり、血小板減少により血が止まりにくい、あざができなすくなったなどの症状がみられることがあります。

診断基準

厚生労働省 特発性造血障害に関する調査研究班(平成22年度改訂)
1、臨床所見として、貧血、黄疸のほか肉眼的ヘモグロビン尿(淡赤色尿〜
  暗褐色尿)を認める。
  ときに静脈血栓、出血傾向、易感染症を認める。
  先天発症はないが、青壮年を中心に広い年齢層で発症する。

2、以下の検査所見がしばしばみられる
 1)貧血及び、白血球、血小板の減少
 2)血清間接ビリルビン値上昇、LDH値上昇、ハプトグロビン値低下
 3)尿上清のヘモグロビン陽性、尿沈渣のヘモジデリン陽性
 4)好中球アルカリフォスファターゼスコア低下、赤血球アセチルコリン
   エステラーゼ低下
 5)骨髄赤芽球増加(骨髄は過形成が多いが低形成もある)
 6)Ham(酸性化血清溶血)試験陽性または砂糖水試験陽性

3、以下の検査所見によって診断を確実なものとする
 1)グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型膜蛋白の欠損
   血球(PNHタイプ血球)の検出と定量
 2)骨髄穿刺、骨髄生検、染色体検査などによるほかの骨髄不全疾患の判定

4、以下によって病型分類を行う
 1)臨床的PNH(溶血所見がみられる)
   (1)古典的PNH
   (2)骨髄不全型PNH
   (3)混合型PNH

 2)PNHタイプ血球陽性の骨髄不全症(溶血所見は明らかでないPNHタイプ
   血球陽性の骨髄不全症は、下記のように呼び、臨床的PNHとは区別する)
   (1)PNHタイプ血球陽性の再生不良性貧血
   (2)PNHタイプ血球陽性の骨髄異形成症候群
   (3)PNHタイプ血球陽性の骨髄線維症 など

5、参考
 1)PNHは溶血性貧血と骨髄不全症の側面を併せ持つ造血幹細胞異常による
   疾患である。
   骨髄不全型PNHは、再生不良性貧血・PNH症候群によって代表される

 2)PNHタイプ血球の検出と定量には、抗CD55及び抗CD59モノクロナール抗体
   またはFLAERを用いたフローサイトメトリー法が推奨される。
   PNHタイプ好中球比率はしばしばPNHタイプ赤血球のそれより高値を示す。

 3)溶血所見として、肉眼的ヘモグロビン尿、網赤血球増加、血清LDH値上昇、
   間接ビリルビン値上昇、血清ハプトグロビン値低下が参考になる。
   PNHタイプ赤血球が1〜10%であれば、溶血所見を認めることが多い。

発作性夜間ヘモグロビン尿症で異常値を示す検査

血液検査
増加
網赤血球数 ・ 間接ビリルビン ・ 総ビリルビン ・ LD(LDH) ・ AST

減少
赤血球数 ・ 白血球数 ・ 血小板数 ・ ヘモグロビン濃度 ・ ヘマトクリット値 ・ ハプトグロビン

尿検査
陽性
ウロビリノゲン ・ 尿潜血

※各項目の解説は、リンク先のページをご参照下さい。