クレアチニンクリアランス

クレアチニンクリアランスの概要

この項目は、血液中のクレアチニンと尿中のクレアチニンを測定し、計算式から腎臓の機能(糸球体濾過値)を調べる検査です。

クレアチニンは、筋肉が働くためのエネルギー源であるクレアチンが代謝されてできる最終代謝産物です。

クレアチニンは腎臓の糸球体でろ過され、尿細管で再吸収もされずに尿中に排泄されます。
そのため、腎機能の低下(糸球体での濾過作業が低下)する病態が起こるとクレアチニンが尿中に排泄されにくくなるので、血液中の濃度が上昇します。

よく腎機能の指標として血液中のクレアチニンが用いられますが、クレアチニンは、筋肉量に比例することから、男性の方が女性よりも高く、子どもよりも大人の方が高くなります。

またクレアチニンは、食事の影響や、腎臓以外の因子の影響を受けにくいですが、糸球体ろ過値(GFR)が だいたい2/3程度まで低下しないと基準値を超えるような高値を示さないことがあり、そのため、早期の腎機能異常を見過ごしてしまうことがあります。

クレアチニンクリアランスの場合、血液中と尿中のクレアチニン量から算出されるため、性別や年齢による変動がないために、より正確に腎臓の機能を検査することができます。

クレアチニンクリアランス(Ccr)の検査方法は、施設によって様々ですが、通常24時間の蓄尿を用いて検査します。
そして採血を実施して血液中のクレアチニン量を調べ、計算式を使って求めます。

クレアチニンクリアランス(Ccr)の計算式および判定基準

計算式

Ccr(ml/min)=U×V/S×1.73/A
・ U   : 尿中のクレアチニン濃度(mg/dl)
・ V   : 1分間の尿量(ml/min)
・ S   : 血液中のクレアチニン濃度(mg/dl)
・ A   : 体表面積( ㎡)
・ 1.73 : 日本人の平均体表面積( ㎡)

判定基準 (腎臓の障害程度)

軽度   : 51 ~ 70 ml/min
中等度 : 31 ~ 50
高度   : 30 以下

検査の目的

腎疾患(糸球体の障害)が疑われる場合や、その経過観察として

参考基準値 (単位:ml/min)

男性 : 90 ~ 120

女性 : 80 ~ 110

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

クレアチニンクリアランスが異常値を示す病態

高値
高蛋白食の摂取、妊娠 など

低値
腎炎(急性・慢性)、糖尿病性腎症、脱水、心不全、尿路閉塞 など