eGFRの概要
この項目は、血液中のクレアチニン値と年齢・性別から計算式を用いて、腎機能(推算糸球体濾過量)を調べる検査です。
よく腎機能の指標として血液中のクレアチニンが用いられますが、クレアチニンは、筋肉量に比例することから、男性の方が女性よりも高く、子どもよりも大人の方が高くなります。
またクレアチニンは、食事の影響や、腎臓以外の因子の影響を受けにくいですが、糸球体ろ過値(GFR)が だいたい2/3程度まで低下しないと基準値を超えるような高値を示さないことがあり、そのため、早期の腎機能異常を見過ごしてしまうことがあります。
そのため、直接腎臓の機能(糸球体濾過量:GFR)を測定すればいいのですが、糸球体濾過量の検査は、とても複雑で時間を要するため、日常検査では、計算式によって算出されるeGFRを腎機能のスクリーニング検査として用いています。
eGFR(推算糸球体濾過量)の場合、血液中のクレアチニン量と年齢、性別などから算出されるため、性別や年齢が考慮されており、より正確に腎臓の機能を把握することができます。
但し、eGFRはあくまで推定値でありますので、より正確な検査が必要な場合は、クレアチニンクリアランスやイヌリンクリアランスなどの腎機能を評価する検査を実施します。
eGFRの計算式 (18歳以上が対象)
男性
eGFR (ml/分/1.73 ㎡) = 194×Cr-1.094×年齢-0.287
女性
eGFR (ml/分/1.73 ㎡) = 194×Cr-1.094×年齢-0.287×0.739
※eGFRは容易に腎機能を評価できるメリットがありますが、標準体型から外れている場合は、正確な値が得られない場合があります。
eGFRの計算式で用いられる体表面積1.73㎡は日本人の標準的な体型に補正された値であるため、極端なやせや肥満、筋肉量が極端に多かったり、反対に少なかったりする場合は、得られたGFRを個人の体表面積で修正する必要があります。
標準的な体型から外れている場合
eGFR×体表面積÷1.73
体表面積
(体重kg)0.425×(身長cm)0.725×7184×10-6
CKD(慢性腎臓病)の定義と診断基準
定義
GFR で表わされる腎機能の低下があるか,もしくは腎臓の障害を示唆する所見(代表的なものは蛋白尿をはじめとする尿異常,片腎や多発性のう胞腎などの画異常,血液異常,病理所見などの存在)が慢性的に持続するもの
診断基準
1)尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか
(特に蛋白尿の存在が重要)
2)GFR <60 mL /min/1.73 ㎡
1),2)のいずれか,または両方が3ヶ月以上持続するもの
CKDステージ分類
1 腎障害(+)、GFR正常または亢進
GFR : ≧ 90
2 腎障害(+)、GFR軽度低下
GFR : 60 ~ 89
3 GFR中等度低下
GFR : 30 ~ 59
4 GFR高度低下
GFR : 15 ~ 29
5 腎不全
GFR : < 15
(CKD診療ガイド2009を参考にしています)
検査の目的
1) 腎機能のスクリーニング検査として
2) 腎機能異常を疑う場合や、その経過観察として
参考基準値 (単位:ml/min/1.73㎡)
90 以上
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
eGFRが低値を示す病態
慢性腎臓病(慢性糸球体腎炎・糖尿病性腎症など)