血糖値
血糖値

血糖値の概要

この項目は、血液中のブドウ糖(グルコース)濃度を調べる検査です。

グルコースは小腸で吸収され、血液中に入り、脳や筋肉などの各組織にエネルギーとして使用されたり、肝臓でグリコーゲンに変換されて肝臓や骨格筋に貯蔵されます。

グルコースは、生体のエネルギー源として、脳や筋肉など各組織で使われています。

特に脳などの中枢神経系では、グルコースが唯一のエネルギー源となっています。

体内での血糖の濃度は、腸管からのグルコースの吸収、肝臓におけるグリコーゲンの合成・分解や糖新生、各組織における糖の利用によって左右され、これらの調節にはインスリンやグルカゴン、甲状腺ホルモン、成長ホルモンなどのホルモンや自律神経が関与しています。

血糖値は食事や運動によっても変動するため健常者の場合、60〜160mg/dlの間で変動しています。

※糖新生とは、乳酸やピルビン酸、アミノ酸などからグルコースを作ることです。

妊娠と血糖値

妊娠中は、胎盤から分泌されるホルモンによってインスリンの働きがジャマをされたり、インスリン自体が分解されるために非妊娠時よりも高血糖になりやすい状態となっています。

妊娠中の高血糖は、赤ちゃんやお母さんに様々な影響を与えることがありますので注意が必要です。

主な赤ちゃんへの影響は、巨大児または低出生体重児・新生児期における低血糖や特発性呼吸促迫症候群などがあり、お母さんへの影響は妊娠中毒症・尿路感染症・神経障害・網膜症・腎症などを引き起こすことがあります。

各疾患と血糖値

糖尿病

糖尿病はインスリンの不足や各組織におけるインスリンの感受性の低下などが原因で起こります。

インスリンは各組織にグルコースの取り込みを促進させることによって、血糖値を下げる働きがあります。

そのため、インスリンの分泌低下がおきたり、各組織のインスリンの感受性が低下すると、各組織でグルコースが取り込まれにくくなり、血液中にグルコースが過剰状態となるため高血糖を示します。

胃切除後(ダンピング症候群)

胃を切除したことにより、食事の内容物が小腸に短時間に流れ込み糖分を吸収するため一時的に高血糖状態となります。

そして、この高血糖状態に反応して膵臓からインスリンが過剰に分泌され、この状態がしばらく続くため、食後2〜3時間後に低血糖状態になります。

甲状腺疾患

甲状腺ホルモンは血糖値を上昇させる作用があるため、甲状腺機能亢進症のように甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると高血糖を示します。

逆に、甲状腺機能低下症のように甲状腺ホルモンの分泌が低下するような場合は、血糖値を上げる作用が低下するために低血糖となることがあります。

副腎疾患(クッシング症候群、副腎機能低下症など)

副腎から分泌しているホルモンの1つに、コルチゾールと呼ばれるものがあります。

このホルモンは、副腎皮質から分泌しています。
このコルチゾールの働きの1つに、肝臓での糖新生を促進させる作用があるため、コルチゾールが過剰に分泌される疾患(クッシング症候群)の場合には高血糖となり、副腎機能低下症のようにコルチゾールの分泌低下が起こると、低血糖となります。

糖尿病の診断基準

臨床診断
1)初期検査
 @空腹時血糖値≧126mg/dl
 A75gOGTT(糖負荷検査)2時間値≧200mg/dl
 B随時血糖値≧200mg/dl
 CHbA1c≧6.1%(国際標準値の場合は6.5%)

@〜Cのうちいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。
別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。

但し、HbA1cのみの反復検査による診断は不可。
また、血糖値とHbA1cが同一採血で糖尿病型を示すこと(@〜BのいずれかとC)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。

2)血糖値が糖尿病型(@〜Bのいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
 ・糖尿病の典型的症状(口渇、多飲、多尿、体重減少)の存在
 ・確実な糖尿病網膜症の存在

3)過去において、上記1)ないしは2)の条件がみたされていたことが確認できる場合には、現在の血糖値が上記の条件に合致しなくても、糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いを持って対応する必要がある。

4)上記1)〜3)によっても糖尿病の判定が困難な場合には、糖尿病の疑いを持って患者を追跡し、時期をおいて再検査する。

※検査時はストレスのない状態での高血糖の確認が必要。

(2010年:糖尿病学会 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告より引用)

妊娠糖尿病の診断基準

妊娠糖尿病とは
妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常で、あきらかな糖尿病は含めないもの。

診断基準
妊娠中に発見される耐糖能異常には、1) 妊娠糖尿病 2) 妊娠時に診断された明らかな糖尿病の2つがあり次の診断基準により診断する

妊娠糖尿病
75gOGTT(糖負荷検査) において次の基準の1 点以上を満たした場合に診断する。
1) 空腹時血糖値 ≧92mg/dL
2) 1時間値 ≧180mg/dL
3) 2時間値 ≧153mg/dL

妊娠時に診断された明らかな糖尿病 
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
1)空腹時血糖値≧126mg/dl
2)HbA1C ≧6.5%(HbA1C (JDS) ≧6.1%)
3)随時血糖値>200mg/dl
  随時血糖値>200mg/dlの時は、空腹時血糖かHbA1cで確認
4)糖尿病性網膜症が存在する場合

※妊娠中の75gOGTT
2 時間血糖値≧200mg/dL の場合は、あきらかな糖尿病診断基準項目 1)-4) について検討し、あきらかな糖尿病かどうか判定する。
特に HbA1C6.1%以下で 75gOGTT2 時間値≧200mg/dL の場合は、明らかな糖尿病とは判定し難いので、ハイリスク妊娠糖尿病とし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。

(日本糖尿病・妊娠学会 妊娠糖尿病の定義および診断基準より引用)

検査の目的

1) 健康診断の糖質検査項目として
2) 糖尿病などの糖代謝異常が疑われる場合やその経過観察

参考基準値  (単位:mg/dl)

70〜110 (空腹時)

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

血糖値が異常を示す病態

高値
糖尿病 ・ 甲状腺機能亢進症 ・ クッシング症候群 ・ 胃切除後(ダンピング症候群) ・ 膵炎 など

低値
下垂体機能低下症 ・ 甲状腺機能低下症 ・ インスリノーマ ・ 副腎機能低下症 ・ 胃切除後(ダンピング症候群) など

検査時の注意事項

血糖値は食事の影響を受けやすいため、早朝空腹時で検査を受けるようにしましょう。