亜硝酸塩の概要
この項目は、尿中に亜硝酸塩が存在するかを調べる検査です。
普段、私たちは食物(主に野菜)から硝酸塩と呼ばれる物質を摂取しています。
この硝酸は、主に消化管の上部から体内に吸収され、一部は唾液中に分泌されますが、ほとんどは腎臓から尿として排泄されます。
膀胱炎などの尿路感染症のように尿中に細菌が繁殖していると、硝酸塩は細菌によって還元されて亜硝酸塩へと変化します。
そのため、通常時の尿からは亜硝酸塩は検出されません。
このように、尿中の亜硝酸塩の有無を調べることにより、尿路感染症であるかどうかがわかります。
ただし、すべての細菌が硝酸塩を亜硝酸に還元できるわけではないので、尿中の白血球や尿沈渣の結果を踏まえて総合的に判断します。
また、細菌が硝酸塩を亜硝酸塩に還元するためには4時間以上が必要なため、膀胱炎で頻尿などがあると、膀胱内に尿が停滞している時間が短く、細菌が亜硝酸塩を作るための時間が不十分のため、尿の中に細菌が繁殖していても陰性を示すことがあります。
他に注意が必要なのは、嘔吐や過度のダイエットによる食物からの硝酸塩の摂取不足があると、尿の中に細菌が存在しても亜硝酸塩が作られる量が少ないため、偽陰性となることがあります。
検査の目的
1)尿のスクリーニング検査として
2)膀胱炎などの尿路感染症を疑う時
参考基準値
マイナス (-)
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
亜硝酸塩が陽性を示す病態
尿路感染症(膀胱炎など)
検査時の注意事項
1)検査には早朝尿が適しています
上記でも書きましたが、細菌が硝酸塩を亜硝酸塩に還元するには4時間以上必要なため、早朝尿が適しています。
2)新鮮な尿で検査しましょう
尿を放置しておくと、容器内で細菌が繁殖して偽陽性となることがありますので、採取したらすぐ検査するようにしましょう。
3)ビタミンCの摂取は控えましょう
ビタミンCが尿中に多量に存在すると、亜硝酸塩が存在していても、反応が阻害されて偽陰性になることがありますので、検査前にはビタミンCを多く含む食品の摂取は控えましょう。