AFPの概要
この項目は、腫瘍マーカーであるAFP(α-フェトプロテイン)の血液中の量を調べる検査です。
AFPは、胎生期に肝臓や卵黄嚢で作られる蛋白です。
様々な物質を母体と胎児の間で運搬するのに関与し、また免疫抑制作用を持つと考えられています。
このAFPは、出生時にもっとも高い値を示し、その後減少して1年以内に成人と同じ値(約10ng/ml以下)となります。
しかし肝臓がんにより再び産生されることがあるため、肝細胞がんの腫瘍マーカーとして、肝細胞がんの補助的診断や治療効果の判定などに用いられます。
腫瘍マーカーについて
腫瘍マーカーは、基本的に早期のがんでは値の上昇する確率が低いため、一般的にがんの早期発見目的としては用いられません。
また、腫瘍マーカーは良性疾患で高値となったり、対象のがんすべてで高値を示すわけではないため、他の検査と併せて検査を実施する場合が多く、がんの診療の補助的検査としてもちいられます。
AFPにおける生理的変動
年齢による変動
新生児(生後12ヶ月まで)は、高値を示します。
これは、胎生期に産生されたAFPが残存しているためです。
その他の影響による変動
妊婦で高値を示します。
これは、AFPが胎児から移行してきたために起こるもので、妊娠8ヶ月をピークに高値となります。
検査の目的
1)肝臓がんを疑う場合や、その治療効果の判定及び経過観察として
2)慢性肝炎や肝硬変患者における肝臓がんのスクリーニングとして
3)胎児性腫瘍の補助的診断として
参考基準値(単位:ng/ml)
10.0 以下
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
AFP(腫瘍マーカー)が高値を示す病態
肝細胞がん、転移性肝がん、ヨークサック腫瘍、肝芽細胞腫、慢性肝炎、肝硬変、乳児肝炎 など