CA19-9の概要
この項目は、腫瘍マーカーであるCA19-9の血液中の量を調べる検査です。
CA19-9は糖鎖抗原で、健常者でも膵管、胆のう、胆管、胃、唾液腺、気管支、前立腺、子宮内膜、大腸などに微量に存在し、これらの部位が癌化することにより大量に作られ、高値を示すようになります。
特にすい臓がん・胆管がん・胆のうがんで高率(70~80%)に高値を示すことから、膵・胆道系の腫瘍マーカーとして用いられています。
ルイス式血液型とCA19-9
一般的に血液型といえばABO式やRh式を思い浮かべますが、ほかにもいろいろと存在し、その中にルイス式と呼ばれるものがあります。
このルイス式血液型陰性者(Le(a-b-))の方は、CA19-9は疾患の有無に関わらず常に陰性となるため、腫瘍マーカーとして実施するのは不向きとなります。
これは、CA19-9はルイス式血液型のルイスA抗原にシアル酸が付加した糖鎖抗原であるからです。
そのため、ルイスA抗原が存在しないとCA19-9も作られないため常に陰性となります。
日本人の約5~10%の方が陰性となるといわれています。
腫瘍マーカーについて
腫瘍マーカーは、基本的に早期のがんでは値の上昇する確率が低いため、一般的にがんの早期発見目的としては用いられません。
また、腫瘍マーカーは良性疾患で高値となったり、対象のがんすべてで高値を示すわけではないため、他の検査と併せて検査を実施する場合が多く、がんの診療の補助的検査としてもちいられます。
検査の目的
消化器系腫瘍(特にすい臓がん、胆管がん、胆のうがん)を疑う場合や、その治療効果の判定及び経過観察として
参考基準値(単位:U/ml)
37.0 以下
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
CA19-9が高値を示す病態
悪性疾患
すい臓がん、胆管がん、胆のうがん、大腸がん、胃がん、肝臓がん、肺がん、卵巣がん、子宮がん など
良性疾患
消化器疾患(膵炎、肝炎、胆道結石など)、婦人科疾患(卵巣のう腫、子宮筋腫、子宮内膜症など)、呼吸器疾患(気管支拡張症、気管支のう胞など)など