NSEの概要
この項目は、腫瘍マーカーであるNSE(神経特異エノラーゼ)の量を調べる検査です。
エノラーゼは解糖系酵素で、α・β・γの3種類(サブユニット)があり、さらに細かく分かれ、αα・ββ・γγ・αβ・αγの5種類(アイソザイム)が存在します。
このうち、γγとαγ型エノラーゼは神経細胞に存在するため神経特異エノラーゼ(NSE)と呼ばれます。
解糖とは、体内でブドウ糖(グルコース)がピルビン酸まで分解される経路のことで、この解糖によってエネルギーが作られます。
NSEは神経細胞、神経内分泌系細胞以外にも、赤血球・血小板、リンパ球などにも存在しています。
NSEは、神経内分泌系や神経細胞の腫瘍によって上昇することから、神経芽細胞腫や神経内分泌系の特性をもつ肺小細胞がんなどの補助診断や治療効果の判定やモニタリングとして用いられます。
腫瘍マーカーについて
腫瘍マーカーは、基本的に早期のがんでは値の上昇する確率が低いため、一般的にがんの早期発見目的としては用いられません。
また、腫瘍マーカーは良性疾患で高値となったり、対象のがんすべてで高値を示すわけではないため、他の検査と併せて検査を実施する場合が多く、がんの診療の補助的検査としてもちいられます。
検査の目的
神経芽細胞腫や神経内分泌系腫瘍(肺小細胞がんなど)を疑う場合や、それらの治療効果の判定やモニタリングとして
参考基準値(単位:ng/ml)
12.0 以下
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
NSEが高値を示す病態
肺小細胞がん、神経芽細胞腫、褐色細胞腫、甲状腺髄様がん、カルチノイド など