妊娠とB型肝炎検査
妊婦検診の項目の中にB型肝炎検査があります。
これは、血液を採取してB型肝炎の抗原があるかどうかを調べて現在B型肝炎ウイルスに感染していないかを調べる目的があります。
B型肝炎は、性行為や輸血など血液や体液を介して感染する感染症です。
成人が感染した場合のほとんどは、全身倦怠感や肝機能低下などの症状が現われてそのうちにB型肝炎に対する抗体が体内で産生されて治癒する一過性感染ですが、感染後、そのままウイルスが体内に残るキャリア状態となることもあります。
お母さんが、B型肝炎ウイルスを保有しているキャリアの場合、赤ちゃんに感染してしまう母子感染の恐れがあります。
この母子感染の場合、持続感染といって赤ちゃんの体内で抗体で作られず、B型肝炎ウイルスが体内に住み着き、急性肝炎や慢性肝炎などを引き起こす可能性があります。
ただし、現在では免疫グロブリンやワクチンを注射して赤ちゃんがB型肝炎ウイルスに感染するのを予防することができますので、妊婦検診を実施して感染の有無を調べる必要があります。
検査時期と検査方法
検査時期
妊娠初期
検査方法
HBs抗原 : 血液検査
参考基準値
(―)
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
検査結果のみかた
ステップ①
HBs抗原 (スクリーニング検査)
陰性
B型肝炎ウイルスに感染していない
陽性
B型肝炎ウイルスに感染している → ステップ②へ
ステップ②
HBe抗原 (精密検査)
陰性
B型肝炎ウイルスの感染力が弱い状態で、赤ちゃんへの感染率は低い状態(10%程度)
陽性
B型肝炎ウイルスの感染力が強い状態で、感染予防処置をしない場合、赤ちゃんへの感染率はほぼ100%
※検査時期や基準値・検査方法などは医療機関により異なる場合があります。