妊娠と梅毒検査
妊婦検診の項目の1つに梅毒検査があります。
この検査では、血液を採取して梅毒に感染しているかどうかを調べています。
梅毒とは、性行為感染症の1つで、トレポネーマ・パリダムと呼ばれる病原体が傷ついた粘膜や皮膚から体内に侵入して感染し、陰部にしこりができたり、鼠径部リンパ節が腫れたり、放っておくと全身に発疹や臓器障害を引き起こしたりします。
そして、妊婦検診で行われる理由は、先天性梅毒の存在です。
先天性梅毒について
梅毒の感染経路は、性行為によるものが多いですが、妊娠しているお母さんが梅毒に感染している場合、お母さんから胎児に感染してしまう場合があります。
この感染したものが先天性梅毒です。
おなかにいる赤ちゃんが梅毒の病原体に感染してしまうと、流産や早産の原因となったり、産まれてきた場合にも内臓疾患や皮膚疾患など様々な症状があらわれます。
そのため、妊娠初期に検査を実施し、梅毒に感染していないかを調べ、もし感染していた場合にも早めに治療を行なうことによって、おなかの赤ちゃんに梅毒の病原体が感染しないようにするために行なわれています。
梅毒検査の検査項目について
梅毒検査の場合、脂質抗原を用いる検査(STS)とトレポネーマ(梅毒の原因菌)を用いる検査の2つを実施してその結果から、現在感染しているかどうかを判断します。
脂質抗原を用いる検査(STS)には、ガラス板法、VDRL法、RPR法などの検査方法があり、トレポネーマ(梅毒の原因体)を用いる検査には、TPHA法、FTA-ABS法の検査方法があります。
★基本的に妊婦検診のようなスクリーニング検査の場合、STSとTPHA法の組みあわせとなります。
検査時期と検査方法
検査時期
妊娠初期
(追加で妊娠後期や出産時に検査している医療機関もあり)
検査方法
STS検査とTPHA検査を併用 (血液検査)
参考基準値
(-)
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
検査結果のみかた
1)STS(―) TPHA(―)
梅毒に感染していない、若しくは感染早期
2)STS(+) TPHA(―)
梅毒感染初期、若しくは疑陽性反応
3)STS(+) TPHA(+)
梅毒感染
4)STS(―) TPHA(+)
治癒後の梅毒、TPHA疑陽性(まれ)
※検査時期や基準値・検査方法などは医療機関により異なる場合があります。
※梅毒検査については、感染症カテゴリーの「梅毒検査」にも詳しく記載してありますので、こちらもご参考下さい。