妊娠と血糖検査

妊娠と血糖検査

妊婦検診には、耐糖異常を調べる血糖検査があります。

これは、糖尿病や妊娠糖尿病を早期に発見する目的があります。
通常、妊娠初期と妊娠中期に行なわれ、妊娠初期には随時血糖検査を、妊娠中期には随時血糖もしくは50gGCT検査が行なわれます。

妊娠時に高血糖状態が続くと、お母さんの体に早産や羊水過多、妊娠高血圧症候群、尿路感染症など様々な影響を及ぼす恐れがあり、また、胎児には巨大児、新生児の低血糖が起きやすくなります。

そのため、妊娠初期と中期に検査を実施することによって妊娠糖尿病などの耐糖異常を早期に発見して、母体や赤ちゃんのカラダを守るために検査が行なわれています。

血糖検査の種類

随時血糖
食事の時間に関係なく測定した血糖値を見る検査

50gGCT(50gグルコースチャレンジテスト)
食事時間に関係なく、ブドウ糖を50g飲んで、1時間後の血糖値を見る検査

75gOGTT
朝食を抜いて、ブドウ糖を75g飲む前、飲んだ後1時間、2時間の血糖値を見る検査

妊娠糖尿病とは?

妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見または発症した糖尿病に至っていない糖代謝異常で、あきらかな糖尿病は含めないものを指します。

妊娠時に高血糖状態が続くと、お母さんの体に早産や羊水過多、妊娠高血圧症候群、尿路感染症など様々な影響を及ぼす恐れがあり、また、胎児には巨大児、新生児の低血糖が起きやすくなります。

妊娠糖尿病の診断基準

診断基準
妊娠中に発見される耐糖能異常には、1) 妊娠糖尿病 2) 妊娠時に診断された明らかな糖尿病の2つがあり次の診断基準により診断する

妊娠糖尿病
75gOGTT(糖負荷検査) において次の基準の1 点以上を満たした場合に診断する。
1)空腹時血糖値 ≧92mg/dL
2)1時間値 ≧180mg/dL
3)2時間値 ≧153mg/dL

妊娠時に診断された明らかな糖尿病 
以下のいずれかを満たした場合に診断する。
1)空腹時血糖値≧126mg/dl
2)HbA1C ≧6.5%(HbA1C (JDS) ≧6.1%)
3)随時血糖値>200mg/dl
  随時血糖値>200mg/dlの時は、空腹時血糖かHbA1cで確認
4)糖尿病性網膜症が存在する場合

※妊娠中の75gOGTT
2時間血糖値≧200mg/dL の場合は、あきらかな糖尿病診断基準項目 1)-4)について検討し、あきらかな糖尿病かどうか判定する。
特に HbA1C6.1%以下で 75gOGTT2 時間値≧200mg/dL の場合は、明らかな糖尿病とは判定し難いので、ハイリスク妊娠糖尿病とし、妊娠中は糖尿病に準じた管理を行い、出産後は糖尿病に移行する可能性が高いので厳重なフォローアップが必要である。
(日本糖尿病・妊娠学会 妊娠糖尿病の定義および診断基準より引用)

検査時期と検査方法

検査時期

妊娠初期(随時血糖)・中期(50gGCTまたは随時血糖)

検査方法

採血

参考基準値

随時血糖 : 100mg/dl未満

50gGCT  : 140mg/dl未満

※基準値は施設ごとで異なる場合があります。

検査結果のみかた

随時血糖
100mg/dl未満 ・・・ 陰性
100mg/dl以上 ・・・ 陽性(75gOGTT検査を実施)

50gGCT
140mg/dl未満 ・・・ 陰性
140mg/dl以上 ・・・ 陽性(75gOGTT検査を実施)

検査時期や基準値・検査方法などは医療機関により異なる場合があります。

※血糖検査については、糖質・色素検査カテゴリーの「血糖」にも詳しく記載してありますので、こちらもご参考下さい。