妊娠と貧血検査

妊娠と貧血検査

妊婦検診の項目の中に貧血検査があります。
この貧血検査では、ヘモグロビン濃度がよく用いられます。

妊娠すると体内を循環している血液量が増加します。

この増加(最大で非妊娠時の40~50%)は、血液中の血漿部分(液体部分)がおもで、赤血球はそれほど多くならないために、結果的に赤血球は希釈された状態(水血症)となり、非妊娠時と比べて貧血となりやすいです。

軽度な貧血であれば自覚症状はみられませんが、ひどくなると立ちくらみや動悸・息切れ・疲れやすいなどの症状が現われるようになります。

妊娠時の貧血の約90%は、鉄欠乏性貧血です。

20~30%のお母さんが鉄欠乏性貧血を経験されますが、よほど重度の鉄欠乏性貧血でない限り、おなかの赤ちゃんの発育に直接的な影響を与えることはありません。

一般的にヘモグロビン濃度は妊娠8カ月頃に最低(循環血液量が最大となるため)となり、分娩近くに進むにつれて正常な値に近づきます。

貧血が問題となるのは、分娩時です。
分娩時には、ある程度の出血を伴います。

そのため、安全な分娩をするためにも定期的に貧血の有無を確認しておく必要があります。検査を実施して、赤ちゃんの感染を防ぐ目的で検査が実施されています。

検査時期と検査方法

検査時期

妊娠初期・中期・後期

検査方法

ヘモグロビン濃度またはヘマトクリット値(血液検査)

参考基準値

ヘモグロビン濃度:11.0g/dl以上

ヘマトクリット値:33.0%以上

検査時期や基準値・検査方法などは医療機関により異なる場合があります。

※ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の内容については、こちらの血算検査内の「ヘモグロビン濃度」「ヘマトクリット値」に詳しく記載してありますので、そちらもご参考ください。